仲良しなのに、仲良くしようっていうのって変だよ


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「先生、カンちゃんのこと怒ったの?」
真奈美ちゃんが心配そうに訊いてくる。真奈美ちゃんはカンちゃんのことが好きなのだ。
「別に先生は怒っていないよ」
「じゃあ、どうしてカンちゃんふくれてたの?」
「どうして、カンちゃんはあかんべしたの?」
「どうして、どうして」
子どもたちの「どうして」の合唱が始まった。これは正直に答えるまで収まらない。
私はしぶしぶ、
「カンちゃんに、どうしたら仲良くなれるかなって訊いたんだよ。そしたら、出て行っちゃったの。」
と白状した。
それを聞いた子どもたちは、さっきのカンちゃんと同じように目を丸くした。
真奈美ちゃんがまた訊いてきた。
「どうしてって?何か変?」
私も訊き返す。
「だって、先生とカンちゃんって、もう仲良しじゃない」
真奈美ちゃんが不思議そうに言った。
おしまいのデート (集英社文庫)』(瀬尾まいこ 著)

■様々な”デート”の形の短編集
「デートまでの道のり」という作品からの引用です。母親を亡くし、父子家庭で
カンちゃんを育てる父親と、カンちゃんが通う保育園の保母さんである私。父親と保母さんの私は恋人同士になるのですが子どものカンちゃんにはうまく話せずにいる大人たち。

■”私は好かれていないんじゃないか”という決めつけ
まだ保母さんとして、カンちゃんと仲よくなれていないのにカンちゃんの母親が務まるハズがない。そんな風に保母さんである私が「どうやったら仲良くなれるかな?」とストレートにカンちゃんに訊いた場面でした。発表会でうまく演技ができたら次はお父さんと先生とボクの3人でお出かけをしよう!とついにカンちゃんが間を取り持つところでお話しは終わります。大人の「私」は「カンちゃんと仲良くなれていない」と思っているのに、まわりの子どもたちが「カンちゃんと先生は仲良し」と、カンちゃんの気持ちを見抜いているのでした。
嫌われているんじゃないか”というのは、こちらの思い込み。実際は自分を好意的に思ってくれているのかも知れない。大人の悪い癖、偏見や決めつけは極力よそう。そう思わせてくれる作品でした。

■作者瀬尾まいこさんの温もりある作品
現役国語教師をしながら作家活動をしている瀬尾まいこさん。瀬尾さんの作品は、とても大好きで、いくつか読んでいます。自然に湧き上がるじんわりあったかい。そんな印象を持つ作品が多いと思います。この作品の中でも”祖父と孫のデート”、”恩師と教え子のデート”など、さまざまな形のデートを設定しているのも、とてもユニークだなと、感じながら読み進めました。

★ぷち日記
今日は父親の障害がきっかけで知り合ったお友達と、お友達のおうちでお茶飲み会にお招きいただきました。お声がけをいただいてから、1年越しでの実現。当事者を支える家族同士、日ごろの奮闘ぶりを語りあいながら、心を休めるひと時でもありました。これもまた面白いご縁だと思い帰ってきました。
夕方は新規でカルチャー教室のパンフレットの作成についてラフ案提案&打合せ。これまでお話をされていたことを盛り込んだものでしたが、具体化にはもう少し情報の整理、体制の再構築が必要そうです。「テツモトさんと、話をしているのが面白いね~」と言っていただけて光栄です。
夜は津軽三味線のお稽古日。暗譜するまで、あともう少し。必ずミスするポイントが決まっているので、集中的に練習し、なんとなくコツがつかめてきました。「なんだ~、こうすればいいのかー」と分かった時が、三味線練習の面白いところです。


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