ただただ、伝えたい気持ちを書けばいい


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「お邪魔しました」
デスクに戻ろうとすると、「面倒くさいことを考えているのねぇ」とため息混じりの声がした。振り向くと、両手の上に顎を載せたポーズのままで、高峰さんがもと通りの笑顔になっている。
「いいじゃないの、ギャンブルをしようが借金をしようが心臓病になろうが。映画が好きで、それを誰かに伝えたいって思うんだったら、その気持ちを書けばいいのよ」
父の借金のことや心臓病のことは一度も高峰さんに話した覚えはない。私がぽかんとするのを見て、高峰さんは面白そうに笑い出した。
キネマの神様 (文春文庫)』(原田マハ/文春文庫)より

■映画ブログをきっかけに
この作品は、ギャンブル依存症で借金を抱えるどうしようもない父親と、アラサー・独身・つい最近仕事も辞めてしまった娘が登場し、共通の趣味の映画をテーマにブログを開設。これにより人生を建て直していく小説です。私も数は少ないのですが、映画を観ることは好きなので、この本を以前読書会の課題本に選んで読みました。

■インターネットならではの奇跡を感じる
父が映画の評論をするサイトは徐々に人気が出てきて、英語の翻訳版も作られることになります。そこにコメントやメッセージで感想を寄せるファンも日本や海外から増えていく展開が面白い作品です。「君はいつも映画の日の当たる部分(サニーサイド)だけを取り上げようと努力していたね」と、最終的には、このサイトが思いも寄らない人物の目に止まり、お互いに素性を隠したまま、ネット上でやりとりを繰り広げて行きます。
少し話はそれますが、私自身も地域サイトを開設してからの一番の楽しみは、サイトを通じての「思いもよらない出会い」。訪問先でサイトを紹介した時に「見たことあります」「利用しています」と言っていただける機会が何度もあり、これが励みとなり続けていられます。

■ただただ、思いを伝えてみる
父親が書くブログのには“キネマの神様がいる”という大前提があります。“映画が名作かどうか”を見極めるのが、キネマの神様の役目だそうです。シネコンの流れに押されながらも、厳選した映画をひっそりと上映する小さな映画館がこの父親のお気に入り。借金があるのに、父親はブログの収益もこの映画館の再建に役立てていきます。他人からなんと言われようとも、絶対的に肯定している世界を持っている…実に幸せな生き方だな~と、この小説を通して感じました。

★ぷち日記
お正月休みは今日まで。今日も箱根駅伝の復路を家族でテレビで観ながら、熱くなっていました。宮城県勢や地元から出場した選手も多数走りましたね。午後は近場ですが、父と母を連れて初売りに行ってきました。例年は車イスで人混みはしんどいなぁーと敬遠していたのですが、雪も無いし、行きなれたところならば良いかなと、行きました。父が身体が不自由になってから、家族で初売りに出かけられたのは初めて。なかなか良い気分転換になったと母も言ってくれました。


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