自分のために生きられない人間は、人のためにも生きられない。


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だけど、タヒチの看板広告の日から、それが変わった。
目に見えるものが色づいた。心が前とは違うふうに動いた。さまざまな感情に胸が震えた。マイナスではない苦しさを知った。いろいろな人と出会い、ああみんな生きていると思い、いつの間にか家族との関係ももとのかたちに戻っていた。
自分のために生きられない人間は、人のためにも生きられない。伴い屋になってみてそれがよくわかった。お金をもらい、笑顔で礼を言われたけれど、僕もまた救われ、教えられていたのだ。
(『独りの時間をご一緒します。 (宝島社文庫)』 沢木まひろ 著 より)

■伴い屋になって成長していく
前半につづき後半部分を読み進めていきました。“伴い屋”としてスカウトされた主人公の葉山遊は、様々な依頼人との出会いによって、自分の存在意義を深く探求し、徐々に成長を重ねて行きます。最初は不条理な人生のどん底状態だった彼でしたが、家族との対話を大切にするようになったり、新しいバイトを見つけた先で素敵な女性と巡り会えたりと、暗いトンネルを抜け出るのでした。

■主人公が持っている資質とは
「資質」を見込まれて”伴い屋”にスカウトされた遊。それが何なのかについて、遊本人が語る場面があります。「その上司みたいな人が言うには、人の話を聞くときに重要なのは、スポンジになるんじゃなくて、さらに話をさせてあげることなんだって。俺にはその能力があるんだって。自分ではあまり意識してないんだけど。」資質とは、自分ではあまり意識せずとも、回りからは特別だなと思われるポイントがあることを指すのでしょう。もっともっとよく観察してみると、彼が資質と言わせた能力を誰もが、ひとりひとりが持ち合わせいます。また、ただ吸収するだけの“スポンジ”では伴い屋は務まらない。その人と関わることで”変化”が起きる、それが、よくわかる物語でした。

■出会いは学び
伴い屋として仕事をしていくうちに、自分の今にイエスと言える自信を取り戻した主人公・遊。最後の場面で、アルバイト先の女の子から”付き合ってほしい”と告白を受けます。それまでならば、仕事はフリーターだし、家庭環境が不安定だし…などを引け目に思い、告白は断っていただろう彼が、今回はそんなことを抜きにして、自分の気持ちだけに従い、“どうしたいのか”をストレートに伝えていきます。やはり、“伴い屋”として一歩を踏み出したときから、彼を取り巻くものが変わったのだと思います。“伴い屋”の仕事として依頼人と関わるとき、“自分のために生きよう”、と肯定することで、彼らの気持ちを楽にしてきた遊。最後は自分自身がこのことに従順になっていったのだと読み取れました。

★ぷち日記
おととい花粉症だと思った私ですが、翌日から悪寒と発熱のため、結局風邪でした。インフルエンザが流行っているので心配になり、その日のうちに病院へ行き検査をしてもらい、インフルエンザでは無かったのが救いです。処方された飲み薬を飲んで、身体を休め、元に戻ってきました。


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